DATE 2008. 6.16 NO .



「――レプリカ?」

 あぁ、生体フォミクリーか。

「じゃあ、さ。僕のレプリカを早めに作ってよ」

 どうせ12歳になれば死ぬんだ。
 いつまでもユリアの思し召しのままにじゃ、つまらない。
 ずっと言われた通りにやってきたんだから、さ。

「導師が僕から変わったら困るだろう?」

 預言[スコア]が揺るぎないものだという事は、この僕が一番よく知っている。
 この僕が、誰よりも。
 だからこそ、面白いと思う。
 こんな事、「普通の」オールドラントの人間は絶対、考えもしない。

「それに、僕が死んだ後もユリアに刃向う玩具――最高じゃないか」

 そう、僕は12歳で死ぬ。きっと死ぬ。そんな事で悩んでいたのはもう、過去の事でしかない。
 あまりにも当たり前すぎて、くだらなくて。

 なのに「ユリアに刃向う」、か。
 自分で言った言葉がおかしくて、つい笑ってしまった。
 結局僕はユリアに勝てない。ヴァンが今しゃべっているこの「計画」は、僕のタイムリミットに間に合うわけがないのだから。

「――いいんじゃない? 預言なんてさ、引っくり返してやりなよ」

 世界を敵に回す壮大な「計画」。
 なのに楽しくて仕方ない。
 預言、預言、預言……もううんざりだ。
 この世界はモースみたいな奴らばかり。
 この途方も無いヴァンの話に乗る事が、楽しくて仕方ない。

「……どうせ最後に滅亡するなら、今壊してしまえばいいんだ」

 そう。
 みんな消えてなくなるってユリア様の思し召しなんだから、さ。






≪あとがき≫
 …管理人は「失いゆくすべて」を読んでおりません;
 ヴァンを主席総長にすべくサポートしてたとか、そんな事なくてルークやアリエッタのようにいろいろ吹き込まれてただけとか、どれが正しいか知りませぬorz
 …とりあえず、虚無的な性格だったらしいですね。口調はシンクが基本みたいですし。

 本編中あれだけイオンを慕うアリエッタがいるだけに、元野性児である彼女の生命力溢れる姿に救いを見出してたってのは、ほんとこっちも救われます。
 でもアリエッタの最期の戦いはやっぱりーー。゚(゚*´Д⊂





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